青木佑太税理士事務所
青木 佑太
副業20万以下の所得であれば、面倒な確定申告の複雑な手続きは省略可能なことをご存じですか？この記事では、副業20万以下の所得についてどのような取り扱いがされるのかを詳しく説明しています。多くの副業者が知らないこの重要な情報は、時間と労力を節約するための鍵となります。副業20万以下の所得の取り扱いの基本から、注意すべき点まで、これから副業を始める方や現在副業を行っている方にとって役立つ内容をお届けします。手続きの不安を解消し、副業をより効率的に進めましょう。
年末調整と確定申告の手続きの概要
年末調整とは何か？
年末調整とは、給与所得者が1年間に支払った所得税の適正額を計算し、過不足を調整する手続きのことです。これは毎年、会社が従業員のために行うもので、給与から差し引かれる所得税額が1年間で正確になるようにします。
具体的には、以下の手順で計算します。
- 源泉徴収税額の確認：年間を通じて給与から差し引かれた所得税額を確認します。
- 所得・控除の確認：従業員の年間総所得と、控除（基礎控除、社会保険料控除、扶養控除など）を確認します。
- 税額の計算：正確な税額を計算し、これまでに徴収された税額と比較します。
- 過不足の調整：計算により過剰に税金が徴収されていたときは返金され、不足していたときは追加で徴収されます。
確定申告とは何か？
確定申告とは、一年間の所得とその所得にかかる税額を計算し、税務署に申告して税額を確定する手続きのことです。これは主に以下のような場合に必要とされます。
- 事業所得や不動産所得などがあるとき：自営業者やフリーランス、賃貸収入がある人は、その所得に対して確定申告を行う必要があります。
- 給与所得者で所得が一定額を超えるとき：給与収入が2000万円を超えるなど、一定額以上のサラリーマンは確定申告が必要です。
- 複数の勤務先があるとき：複数の会社から給与を受け取っている場合、年末調整では全ての所得が考慮されないため、確定申告が必要です。
- 医療費控除など特別な控除を受けるとき：高額な医療費がかかったり、寄付金控除を受ける場合など、特定の控除を受けるためには確定申告が必要です。
確定申告は、原則として毎年2月16日から3月15日までの期間に行われます。申告を行うことで、過払い税金の還付を受けたり、追加で税金を支払う必要がある場合があります。また、電子申告（e-Tax）を利用することもできます。
ここまでで、年末調整と確定申告の基本的な手続きとその違いについて理解を深めました。これらの知識は、特定の条件下で確定申告が不要なことにも重要な役割を果たします。次に、確定申告が不要となる特定のケースに焦点を当て、どのような状況で年末調整のみで税務処理が可能になるのかを探求していきましょう。
税金の計算の前に：収入と所得の違いを理解する
式で表すとこのような形になります。
収入≒売上
所得＝収入ー経費
- 収入: 一定期間内に得たすべての金銭的流入のことです。これには給与、賃金、事業収益、利子、配当、賃貸収入などが含まれます。
- 売上: 特に事業活動における商品やサービスの販売から得られる収入のことです。したがって、「売上」は「収入」の一部と見なすことができます。
- 所得: 収入から経費や必要な支出を差し引いた残額です。所得は、個人や法人の税金計算の基礎となります。
- 経費: 事業運営や職務の遂行に必要な費用です。例えば事業所得の場合、経費には原材料費、人件費、家賃、広告費、設備投資などが含まれます。
確定申告不要？年末調整だけで対応可能なケース
前のセクションで見たように、年末調整は給与所得者の所得税を調整する手続きであり、多くの場合、確定申告を行う必要はありません。しかし、特定の条件を満たす、例えば副業からの所得が20万円以下ときには、年末調整だけで手続きを完結させることが可能です。ここでは、そのような状況下での手続きの詳細について詳しく見ていきます。
前提１ 給与収入が2000万円以下
前提２ 給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円以下
税務手続きは複雑であり、特に副業や複数の収入源を持つ場合、どのように処理すべきか不明瞭に思えることがあります。しかし、ある条件を満たす場合、確定申告を行わずに年末調整だけで税務処理を完結させることが可能です。ここでは、給与収入が2000万円以下で、給与所得と退職所得以外の所得が合計で20万円以下の場合の税務手続きに焦点を当てます。
まず重要なのは、給与収入が2000万円以下であることです。これは給与収入が2000万円を超えると年末調整で課税関係を完結することができなくなり、強制的に確定申告することが必要となるためです。
次に、給与所得と退職所得以外の所得が20万円以下である場合の扱いです。副業や投資などから得られる所得が年間20万円以下であれば、これらの所得についても確定申告は不要です。この点は特に副業をしている人にとって重要で、少額の副収入があっても、その手続きは複雑ではなくなります。
注意すべきポイントと落とし穴：確定申告が必要な場合とは？
確定申告不要の意味
確定申告不要という意味は「確定申告書を提出しなくてもよい」という意味です。注意すべき点は医療費控除や寄付金控除などの適用を受けたい場合には、確定申告をしないと適用を受けることができませんので、このような場合には、副業20万円以下の所得であっても全て確定申告しなければならないということになります。ここを勘違いして確定申告書に記載しなくてもよいと理解してしまうと申告漏れになってしまいますので気をつけましょう。
住民税の確定申告
確定申告不要制度があるのは所得税のみです。住民税は所得税が確定申告不要な場合であっても、住民税の確定申告が必要になりますので副業20万円以下の所得であっても確定申告しましょう。
副業が会社にバレたくないはどうする？
副業を行う際、会社に知られずに行うことは多くの人にとって重要な懸念事項です。特に、副業による所得が原因で住民税が増加し、その結果として会社に副業が知られる可能性があります。
副業で得た所得が増えると、それに伴い住民税も増加します。通常、会社員の、住民税は給与から自動的に差し引かれるため、会社は従業員の住民税の額を知ることができます。副業による収入があると、その分だけ住民税が増え、会社がこの増加に気づくことで副業が発覚するリスクがあります。
このような状況を避けるためには、確定申告時に住民税の納付方法を工夫することが有効です。確定申告書の第二表には「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」という欄があり、ここで「自分で納付」を選択することが可能です。
「自分で納付」を選択すると、副業による所得に関連する住民税の通知や納付書が直接自宅に送られてきます。これにより、本業に関する住民税は従来通り会社を通して処理されるため、副業が会社に知られる可能性は低くなります。
ただし、この方法を選択する際には注意が必要です。副業が絶対に会社に知られない方法はないということです。予期せぬところでミスが起こって会社に知られる可能性もあるので、このあたりを念頭に置いて行動することが望ましいと思います。
まとめ：副業20万円以下の所得と年末調整
この記事では、副業からの年間20万円以下の所得があるときの手続きについて詳しく解説しました。この情報は、副業を行っている多くの人々にとって、時間と労力を節約するための重要な鍵となります。
年末調整の基本
年末調整は、給与所得者が1年間に支払った所得税の適正額を計算し、過不足を調整する手続きです。これは通常、会社が従業員のために行います。年間を通じて給与から差し引かれた所得税額を確認し、所得と控除を考慮して正確な税額を計算します。その結果、過剰に税金が徴収されていたは返金され、不足していたは追加で徴収されます。
確定申告の概要
確定申告は、一年間の所得とその所得にかかる税額を計算し、税務署に申告して税額を確定する手続きです。事業所得や不動産所得がある、給与収入が2000万円を超える、複数の勤務先がある、または一定の所得控除を受けるに必要となります。
副業20万円以下の所得の取り扱い
副業からの所得が年間20万円以下であれば、確定申告は不要で、年末調整だけで税務処理が可能です。これは給与収入が2000万円以下であること、そして給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円以下であることが前提です。
注意点と落とし穴
- 確定申告不要の意味: 確定申告不要とは、確定申告書を提出しなくても良いことを意味します。しかし、医療費控除や寄付金控除など特別な控除を受けたいは、確定申告が必要です。
- 住民税の確定申告: 所得税の確定申告が不要であっても、住民税の確定申告は必要です。
- 副業が会社にバレるリスク: 副業による所得が住民税に影響を与えるため、会社に知られるリスクがあります。「自分で納付」を選択することでリスクを減らすことはできますが、副業が絶対に知られない保証はありません。
結論
副業からの年間20万円以下の所得に関しては、年末調整だけで手続きが可能です。これにより、確定申告の複雑な手続きを避けることができます。しかし、特定の控除を受けたいや住民税の確定申告は必要です。また、副業が会社に知られるリスクを完全に排除することはできません。副業を行う際は、これらの点を念頭に置き、適切な手続きを行うことが重要です。