上場株式から受け取る配当金は、個人投資家のポートフォリオで重要な役割を果たします。税務上の扱いには特別な注意が必要で、これまでの日本の税制では、投資家は配当金の申告に際して「総合課税」、「申告分離課税」、「源泉分離課税(確定申告しない)」のいずれかを選択できました。具体的には、令和4年分の確定申告までは上場株式から受け取る配当金について、所得税は総合課税を選択、住民税は源泉分離課税(確定申告しない)を選択といったように、異なる方式を選択して有利な方を選ぶことができていました。
しかし、令和5年度の税制改正により、上場株式の配当金に対する税務上の取り扱いに変更が生じています。この変更は、投資家にとって重要な意味を持ち、適切な確定申告手続きの理解と準備が必要です。
上場株式の配当金の確定申告:令和5年分の重要変更
令和5年分(令和6年3月15日申告期日)の確定申告からは、所得税と住民税とで異なる方式を選択することができなくなりました。具体的には、所得税では総合課税を選択し、源泉所得税の還付を受け、住民税では源泉分離課税(確定申告しない)という方法を取ることができなくなりました。
国民健康保険料、影響を受ける要因とは?
社会保険加入の場合には上場株式の配当金の課税方式の違いは、影響がないので無視して頂いて大丈夫です。
確定申告に際して、総合課税か申告分離課税を選択した場合には、国民健康保険料の計算の基礎となる総所得金額等に上場株式の配当金の金額が含まれて、国民健康保険の算定基礎額を構成することとなります。
源泉分離課税(確定申告しない)を選択していれば、国民健康保険の計算に影響がなかったものが、上場株式の配当金の源泉所得税の還付又は申告分離課税による損益通算や繰越控除を受けようとして、税金が還付されたけども国民健康保険が激増したようなケースに陥るリスクをはらんでいます。
確定申告をする際には、国民健康保険まで考慮に入れてシュミレーションしましょう。
確定申告時の注意点
確定申告時に上場株式の配当金について選択した「総合課税」「申告分離課税」「源泉分離課税(確定申告しない)」の課税方式は、仮に、あとから計算してみたら違う方法の方が有利だったといった場合でも、やりなおしをすることができないので慎重に判断する必要があります。